午後の心斎橋は、人も情報も多すぎる。
ショーウィンドウの光、流れてくる音楽、やたらと元気な店員さん。
気づけば私は、方向感覚よりも物欲に引っ張られて歩いていた。
「あれ、さっきどこ曲がったっけ?」
スマホの地図を開くけれど、青い点が自信なさげに震えている。
大人になったはずなのに、心斎橋ではすぐに迷子になる。
しかも迷子のくせに、ちょっとカッコつけている。
「別に迷ってへんし、ちょっと散策してるだけやし。」
そう思いながら同じドラッグストアの前を三回通る。
カフェを探していたはずなのに、なぜか靴屋に入り、
トイレを探していたはずなのに、なぜかアクセサリーを見ている。
心斎橋は、目的を静かに溶かしてくる街だ。
最終的にたどり着いたのは、さっき通ったはずの交差点。
「あ、ここ知ってる。」と急に安心する。
知らんかったけど。
心斎橋で迷子になった大人は、少しだけ素直になる。
方向音痴も、優柔不断も、物欲も、全部まとめて笑ってしまえばいい。
迷うのも、悪くない。
だってここは心斎橋。
大人でも堂々と迷子になれる街なのだから。
0 件のコメント:
コメントを投稿