夕方の天満は、だいたい何かが起きそうな空気をしている。
細い路地、赤ちょうちん、やたらと近い隣の席。
大事件は起きないけれど、小さな事件はだいたい起きる。
その日も、私は串を片手に平和に飲んでいた。
何の変哲もない、穏やかな時間。
ところが、足元に違和感。
……右と左、違う靴やん。
家を出るときは確かに同じだったはず。
いや、たぶん同じだった。
でも現実は、黒とネイビーが仲良く並んでいる。
「天満やし、まあええか。」
なぜかそう思ってしまう不思議。
誰も気にしていないし、むしろ隣のおっちゃんはもっと自由な柄シャツを着ている。
路地の奥では、店員さんが大声で注文を通し、
向かいの席では初対面同士がもう親友みたいに笑っている。
靴が左右違うくらい、ここでは誤差だ。
天満の路地で起きた小さな事件は、
私の完璧主義をちょっとだけ溶かしてくれた。
完璧じゃなくても、ちゃんと楽しい。
黒とネイビーを連れて、今日も路地を歩く。
大事件は起きないけれど、たぶんまた小さな何かは起きる。
それくらいが、ちょうどいい。
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